先日、Jonathan KreisbergとNelson Velasのライブに行ってきました。おふたりとも生で聴くのは初めてだったので、とても楽しみにして行きました。
本当はレビューでも書こうと思っていたのですが、私のレベルが及ばず「ただただ凄かった」の1行しか書ける自信がないので、レビューを書くのはやめておきます…
かわりに、このおふたりの演奏を含めこれまでいろいろとジャズギタリストのライブに行って、練習のしかたや目標設定で思うことがあったので今回はそれについてお話したいと思います。
ライブの様子がYouTubeにアップされてたので彼らの凄さはこちらでご覧ください。
自分の練習ステージを知る
練習の目標を定める時に、自分がどのステージにいるのかを知っているということはひとつ重要なポイントだと思っています。
先ほどのおふたりをはじめ、トップギタリストの凄さを目の当たりにするのは良いことですが、この人たちが凄いからといっていきなり目標にしようとするとつらいものがあるためです。
ちょこちょこ参考になりそうなポイントもありますが、大半はかなり高次元での解釈がなされているためプレイを自分の中で咀嚼しきれないのです。
練習は出来ないところを出来るようにするものですが、順を追って手をつけないとできるまで時間もかかりますしモチベーションが下がります。
なので、練習目標を立てる時は自分ができること、できないことを整理しておくと良いと思います。
例えば、私の場合だとこんな感じ。
- 基本的なことはなんとなく理解できた
- 複雑なことはわからない
- 6弦、5弦ルートのコードなら脊髄反射
- 4弦ルート、スモールコード、テンションは考えないとできない
- 考えながら音は出せる
- 歌うようなアドリブはできない
- 引き出しが少ない
見えるところ に目標設定する
トップギタリストの演奏を見たり、YouTubeなどで上手な人の演奏を見ると、ああいう風に弾けるといいなー!と妄想がふくらみ、いきなりジャンプアップしたくなります。
ですが、先ほど整理した自分の練習ステージをもとに、ちょっと手を伸ばせば出来そうな小さな目標を設定して進めていくのが実は一番の近道なんじゃないかと思いました。
練習方法を教則本やインターネットで調べたり、レッスンでいろいろなことを習うとたくさんの情報が入ってきて、あれやこれやと手を出したくなってしまいます。
たくさん知識を得れば得るほど、あれもこれもやらないと、あの人達みたいに弾けない!と思って焦ってしまうのですが、それを抑えて一番近くにあるクリアできそうな課題を決める。
これが結局はモチベーションも維持できるし、一番効率のいい練習なのかなと思います。
私の場合だと、このような感じですね。
- 音楽理論は気になるところがなければ調べない(やらない)
- バッキングはまず4弦ルートだけ脊髄反射レベルにする
- アドリブは練習するフレーズをひとつだけ決めて練習する
まずは絞ってやろう
書いてみればすごく当たり前のことではあるのですが、早く上手くなりたい!と思えば思うほど、いろいろなことに手を出したくなりますよね。
ですが、人間の脳は本来マルチタスクが苦手といわれています。マルチタスク得意!という方もいらっしゃるかもしれませんが、実態としてはひとつのことを集中して行い、それを複数つなげて行う段取りがとても上手ということなのではないでしょうか?(人類で2%くらいは本当に得意な人もいるそうです)
練習もこれと一緒で、できるだけやることを絞って、少しずつクリアしていくのが人間の脳にも合ったやり方なのかなあと思います。
最後に
直近でライブがあるからその練習を!というものに対してはささっと集中してやってしまうのですが、アドリブができるようになるという課題だと長期戦になります。
そうするとあれやこれやと課題が出てきてしまい、何から手をつけるのが良いのかわからない状態に陥ります。すべて中途半端に手をつけるから全然進まなくなってモヤモヤしてしまう。
実はこれ、最近までの私です。たぶん半年くらいモヤモヤしている…笑
まずはスッキリやることを一つだけに絞って、それをクリアすることを目標に練習してみようと思います。
最後に、今読んでいる「成功する音楽家の新習慣」という本に、印象的な一節があったので紹介したいと思います。
前進する秘訣は始めることだ。始める秘訣は、複雑で膨大な作業を扱いやすい小さな作業に分けて、最初のものから始めることだ。
─ マーク・トゥエイン