ソロギター

ハッタリソロギター!テクニック解説

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だいぶ前に「秘密基地」というソロギターの組曲を作りました。友人と3人で物語と写真と音楽をコラボした作品を作ろう!という中で作ったものです。

なかなか外に出てライブやセッション…というわけにもいかない状況の中、ソロギターの練習が捗り、この「秘密基地」を練習し直したわけなのですが…

弾いてみたら難易度がちょうどフィンガースタイルギターの練習曲っぽいと思い、せっかくなので譜面を公開することにしました。

この曲を作った当時、少しだけ押尾コータローさんの曲も練習していて、アコギの特殊奏法エッセンスも盛り込んでいます。

人気のフィンガースタイルギタリストのような難しい奏法はできないけれど、自分で弾ける範囲でそれっぽく聞こえるハッタリ特殊奏法という感じです。

当時の作曲メモも出てきたので、自分の作曲意図もふまえ、「秘密基地」についてと、アコギの奏法について解説したいと思います。


曲紹介と譜面

このソロギター組曲は、4つの曲でひとつの「秘密基地」という曲、といった構成になっています。

  1. 青空
  2. 雨空
  3. 夕空
  4. 星空

「青空」がオープニング曲っぽい位置付け、他3曲が友人と制作した物語に連動しています。その中で「星空」だけは「秘密基地」全体の終曲といった作りになっています。

4曲全て楽譜を無料公開していますので、よろしければフィンガースタイルの練習曲としてお楽しみください。

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チューニング・キーについて

各曲の解説に入る前に…この話をしなければ。

この曲、チューニングがレギュラーではないのです。6弦を1音下げてDにした、いわゆるドロップDチューニングです。

なぜこうしたかというと…「星空」以外の曲のキーがDメジャーまたはマイナーなのですが、その場合にギターで出せる最低音をDにした方が厚みが出せるのです。

「星空」だけは同じドロップDチューニングでCapo1のため、E♭メジャーキーになります。

公開している楽譜は、私がCapoつきのTAB譜が苦手なため、同じような人のために最後に五線譜が実音、TAB譜が実際のフレットになっているものもおまけでつけてありますので、ご活用ください!

それでは、次から各曲の紹介と奏法解説をしていきます。楽譜や動画とも合わせてご覧ください。


青空

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楽曲解説

夏休みのカラッと澄んだ青空の下、秘密基地を一生懸命作った…そういう仲間と何かに夢中になった時のことを大人になって懐かしく思い出しているイメージの曲です。

回想のイメージで、ハーモニクスのテーマを入れているところがこの曲のポイントです。

登場するテクニックと解説

  1. ラスゲアド(25小節目〜)
  2. ネイルアタック(28小節目〜)
  3. ハーモニクス(33小節目〜)

ラスゲアド

楽譜の25小節目にあるようなウネウネ線に矢印がついているもので表現しています。

フラメンコギターなどで出てくる和音をバラして鳴らす奏法で、動画だと0:53ぐらいのところで登場します。バラして弾く和音の中でも、この奏法の音色はワイルドめ

右手を軽く閉じた状態から、薬指→中指→人差し指と順に開いていって、バララっと弦を鳴らしています。

指を開く方向の運動って、日常生活であまりしないので多少の訓練は必要かもしれません。

指を開く動作と一緒にほんの気持ち程度、「回内」という動き(肘関節を親指側に回転させる動き。図参照)をするとやりやすいかもしれません。

kaigai

動画で一番何をやっているかがわかりやすかったのが「星空」の0:14あたりだったのでよろしければそちらもご参考にしてください。

ネイルアタック

楽譜28小節目にあるように「+」というマークをつけて表現しています。押尾コータローさんの曲だと頻出する奏法です。動画だと1:01あたりの「ドーン」という音が出ているところです。

動画だとわかりづらいかもしれませんが、これは「ボディヒット音」と「弦そのものの音」の2種類を同時に出しています

音を出している時の手は大袈裟にすると写真のような感じ。

nailatack

手のひらの下部分でボディを叩くのと同時に中指と薬指は多少の開く動作をしてデコピンのような感じで弦に当てています。ギター付きの写真だと、こんな感じ。

nailatack-guitar

「雨空」にも「アタックミュート」という同じようにこの手の形を使うワザが登場しますが、「青空」では、ボディの音と弦の音を両方鳴らして低音を強調しています。

ハーモニクス

楽譜の33小節目にあるように、「Harm.」という表記とともに、音符の形を菱形にして表現しています。動画だと1:11あたり。

チューニングをする時に使う、弦のとあるポイントに軽く指を置いてはじくと「ポーン」といった感じの倍音が出せるものです。

このハーモニクスは「ナチュラルハーモニクス」というもので、「夕空」の方で解説する「オクターブ(人工)ハーモニクス」とは異なり、特定のフレット上でしか鳴らせないので、出せる音が限られています

余談ですが、「青空」のテーマ先行だったので、まさか全部ハーモニクスで音が出るとは思っておらず、発見した時の感動が大きかったです。笑

音が出しやすい部分とそうでない部分があり、7フレット12フレットあたりは音が出しやすいですが、この曲で使われている9フレットのものは慣れないとなかなか音が出ないかもしれません。

いい音を出すコツは、右手はブリッジ付近の張力が強めな部分で弾いて、左指は乗せるだけ(スラダン…?)です。

雨空

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楽曲解説

雨が降り続き、時間とともに降りかたが変わっていく中、雨宿りしながらボンヤリとその様子を見て考えを巡らせているようなイメージです。

曲調やテンポの変化や変拍子でどんどん雨の強さが変わっていく感じや、自然の気まぐれさを表していています。

登場するテクニックと解説

  1. パームミュート(25小節目〜)
  2. ラスゲアド(33小節目〜)
  3. アタックミュート(33小節目〜)

パームミュート

楽譜の25小節目にある「P.M.」と表示しているところです。動画だと1:05あたり。エレキギターを弾いている人は「ブリッジミュート」としておなじみだと思います。

ブリッジ付近に手のひらの側面(小指側)を軽く乗せて、親指で弦をはじきます。サスティンがなくなった、ピチカートっぽい音が出ます

手のひらを乗せる場所は良い響きになるポイントがあるので、探してみてください。

この音によって、大降りになる直前に雨の粒が大きくなっていく感じを表現しています。

ラスゲアド

楽譜の33小節目にあるような矢印のついたウネウネで表示している部分です。動画でいうと1:39あたり。この他に、37小節目でも5、6弦だけに当てるラスゲアドを使っています。

奏法については「青空」のところでも説明しているのでそちらをご覧ください!

アタックミュート

楽譜33小節目にあるように「x」で表現しています。動画でいうと1:39〜の「チャッ」という音を出しているのがこの奏法です。

弦の実音ではなく、弦と爪が当たった音でスネアドラムのような役割を担っています

こちらも手の形は「青空」で出てきたパームミュートとほぼ一緒で、手のひらの下をボディに当てないところが違う部分です。

ギター入りで見るとこんな感じで、この写真だと6弦に中指と薬指を当てていますが、「雨空」では1-3弦あたりに当てています。

atackmute-guitar

動画や楽譜を見てもわかる通り、33小節目からのセクションは少し早めのテンポでストロークとアタックミュートを織り交ぜながら弾いています。

楽譜に矢印でダウン、アップの指定をしました。アタックミュートと共存するときのアップストロークは人差し指を閉じる動作でやるのがおすすめです。


夕空

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楽曲解説

夏の終わり頃の夕方、夏休みにたくさん遊んで楽しかったけど、終わってしまう、なんだか寂しいような気分のイメージです。

特殊な奏法はあまりないですが、メロディーを担う声部が変わるところがこの曲の大きな特徴です。

登場するテクニック解説

  1. オクターブ(人工)ハーモニクス(7小節目)

この曲に出てくる特殊な奏法は一つしか出てこないので、フィンガースタイルのギターの入門という意味ではこちらの曲がおすすめです。

オクターブ(人工)ハーモニクス

楽譜の7小節目、「Oct.Harm.」と表示してるところで、動画でいうと0:27のところです。こちらも、「ポーン」と言う倍音を鳴らすことができる奏法です。

「青空」で出てきた「ナチュラルハーモニクス」と違って好きな音のハーモニクスを出せるのが特徴です。

まず、出したい音が鳴るフレットを左指で押さえます。ナチュラルハーモニクスでは乗せるだけでしたが、こちらは通常どおり押さえます

そして、右の人差し指を左指で押さえているフレットの12フレット上に乗せます。この曲だと5フレットを押さえているので17フレットに乗せます。

そして、右手人差し指を乗せたまま、親指または薬指で弦をはじきます。私は薬指の方がやりやすいので薬指を使っています。

oct-harm

星空

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楽曲解説

一面の星空というよりは、こじんまり光っている星が優しく輝いていて、それを見上げているイメージです。夜はまだ続くけど、みんな眠りについて誰もいなくなっていく感じで終わります。

組曲のラストということもあり、青空、雨空、夕空のテーマが少しずつ登場しています。雨空はメジャーキーになっているのでわかりにくいかもしれませんが、「きらきら星」のオマージュ的なフレーズにもなっています。

この曲だけわざわざカポを使ってE♭メジャーキーにしているのは、キラキラした響きが欲しかったからです。

登場するテクニックと解説

  1. ラスゲアド(5小節目〜)
  2. アタックミュート(5小節目〜)

1曲通してほとんどストロークになるので、いかにトップノートを際立たせてメロディーを聞かせるかがポイントになってきます。

ラスゲアド

楽譜の5小節目にあるような矢印のついたウネウネで表示している部分です。動画だと0:09あたり。とはいっても、「星空」では頻出しています。

解説は「青空」のところでご覧いただきたいのですが…この組曲全体でほぼラスゲアド使っていますね…私の手癖です。

一応動画準拠で楽譜にも指定をしていますが、ただの手癖なのでお好みで入れてください。

アタックミュート

楽譜の5小節目にあるような「x」で表記されている部分です。動画だと0:10あたり。ラスゲアドと同じく「星空」では頻出していますし、ストロークの曲なのでこれがある意味スパイスになってきます。

解説は「雨空」のところで解説していますので、そちらをご覧ください!

その他演奏のポイント

1曲通してストロークなので、「星空」では、余計な弦を左手で止める「ミュート」もところどころ登場します。9小節目など、TAB譜上に「x」でミュート箇所を表記していますので、ご参考にしてください。

奏法のまとめ

この曲で登場する特殊奏法をまとめると、以下の通りです。一つの組曲を通していろいろな奏法を盛り込んでいるので、フィンガーピッキングの練習としてお役に立てれば幸いです!

  1. ラスゲアド(青空、雨空、星空)
  2. ネイルアタック(青空)
  3. アタックミュート(雨空)
  4. パームミュート(雨空)
  5. ナチュラルハーモニクス(青空)
  6. オクターブ(人工)ハーモニクス(夕空)

最後に

もし「秘密基地」にチャレンジしてくださった方は、よろしければ演奏動画をシェアしていただけるととても嬉しいです!

また、こちらの楽曲は物語と連動しているので、合わせて物語もお楽しみいただけると、曲のイメージがより膨らむかもしれません。

制作した物語も公開中です!
himitsukichi

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