作曲

「モード」でフワっとした曲を作る

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ジャズギターのレッスンを受けた時、真っ先に音楽理論を習ったのですが、分析するのが好きな私にとってはそのレッスンが結構ハマり、理論の勉強をするのは結構好きでした。

実際の演奏に反映できているかはさておき…レッスンに行く前よりも格段にコードや楽曲の理解をしやすくなったのは事実です。

先日からいくつか曲を作ってみて、コード進行のことをこれまで以上に勉強する機会が増えました。

定番進行のストックを溜めたり、実際に使ったりしているのですが、音楽理論と合わせて意識的に曲作りに使うとおもしろいので、作った曲をもとにコード進行や理論的なことをご紹介していきたいと思います。

今回は、「モード」っぽい曲を作ってみた時に感じたことなどを書いていきたいと思います。


「モード」って?

まず今回のテーマ「モード」について。この記事では「モード」という言葉は「モードジャズ」と同じ意味合いで使っています。

いろいろすっ飛ばして簡単に、強引に説明してしまうと、曲の世界観をコード進行に頼らずメロディ任せにした一発モノという感じでしょうか。

私たちが日常的によく聞く曲のほとんどはコードチェンジがたくさんある曲だと思います。コード進行だけで切ない展開が作れたり、安心感があったり。

有名なところで言えば、幼稚園とかでお辞儀をする時に先生がピアノで弾くあの音。コードでいうと「C-G-C」という進行で、メロディーが乗っていなくてもこの動きだけで安心→不安→安心という世界観(こう言うと大げさですが…)を作っています。

「モードジャズ」は、そのコードチェンジ主導でアドリブをすることに飽きてきた人が、コードは一つだけにして、アドリブでの音の使い方で曲のストーリー展開を作る、といった手法を取り入れたものになります。

この音の選択が、曲のキャラクターを作ったり、ストーリー展開を作り独特の雰囲気を生み出します。実際に「モード」の曲と、そうでない曲を聴き比べてみると雰囲気が感じられるかもしれません。

参考に例を出してみました。上がモードの曲「So What」、下がコード進行で展開するジャズ曲「枯葉」です。

「枯葉」はなんとなく先の展開が予想できるような感じ、「So What」はどこに行くのかわからないような、ちょっとフワッとした独特の雰囲気がしませんか?

モード代表「So What」

コード進行する曲「枯葉」

その独特な雰囲気を生み出す特徴を語る上で「ドリアンスケール」など、「スケール」といった概念が出てきてよりややこしくなるのですが…

この辺りの説明は「ギター無窮動トレーニング」の著者である道下和彦さんのブログで「おそ松さん」に例えてわかりやすく書かれていたので、もう少し踏み込んで「モード」について知りたい方は以下のブログをご覧ください!

作った曲紹介

今回のテーマである「モード」で作った曲はこちらです。

「Green woods」

この曲は自分の中で初めから一定のマリンバリフが流れ、コード進行がほとんどない「モード」っぽい曲にしようという構想がありました。

曲のお題が上のような遊歩道の写真だったのですが、緑の道を歩いていたらヘビが通ったり川の音が聞こえてきたり…といった非日常っぽい雰囲気の曲にしたかったからです。


コード進行は「So What」と同じ

今回作った曲のコード進行は、まさに先ほどモード代表でご紹介した「So What」からお借りしました。

32小節の中でDm7とE♭m7の2つのコードしか出てこない曲です。

Dm7 (16小節) – E♭m7(8小節) – Dm7(8小節)

長い間同じコードが続くのですが、どちらのコードの時にも「ドリアンスケール」を使ったメロディで独特のフワッとした雰囲気になるのが特徴的です。

個人的には、E♭m7になった時にさらに不思議な感じになるのが好きな進行です。

モードはループが入れやすい

曲作りの観点から言うと、モードの曲はほぼ同じコードが続くので、ループトラックが非常に入れやすいです。

私は曲作りにはMacやiPhoneにプリインストールされているGaragebandというアプリを使用しています。

この曲は初めてGaragebandを使用して作ったものだったため、試しにいろいろな機能を使ってみたいということもあり、ループトラックを使った曲作りをしました。

ループトラックはコードが短いスパンで進行してしまうと使いづらいこともあるので、今回のモード手法を使った曲にはとても上手くハマりました。


モードは「わかりやすい曲」にならない

作ってみて感じたことは、モードの曲はコード進行がないだけに、良くも悪くも「とりとめがない曲」になりやすいということです。

フワッとしたところを狙いに行ったところもありますが、ここまでフワッとするとは…メロディーが覚えやすいものにはなりませんでした。

バッキングトラックを作った後にギターでメロディを入れたのですが、感覚的にはアドリブを弾いているのとあまり変わらない感じで、コード進行がある曲の方がキャッチーな曲が作りやすいのかもしれないと思いました。

逆に、モードっぽい進行にはBGMというか、雰囲気を作り出して、聴く人の意識を邪魔しないような曲に合っているのかもしれません。

これが作曲チャレンジ1回目の作品ではあったので、以降歌モノっぽい曲を作る時などはコード進行とメロディーに気を遣うようになりました。

何事もやってみないとわからないものですね。作ってみたことでひとつ勉強になりました。