本番対策

本番あるある「いつもできてた場所がゲシュタルト崩壊」を分析

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本番で「練習ではいつもできていた箇所が急にわからなくなった」という経験はありませんか?

前日まで不安で不安でたくさん練習したソロの部分は、本番でびっくりするほどちゃんと弾けたのに、いつもできていた箇所はゲシュタルト崩壊してエアギターに…

これは私の経験です。(当時メンバー全員がPAさんを疑ったという笑い話になっています…)

どうして、こんなことが起こるのでしょうか?

つい最近、これに関して腑に落ちた出来事がありました。

今回は、本番中に起こる「予想外の場所でのゲシュタルト崩壊」について分析し、その対策について考えてみました。

「ゲシュタルト崩壊」とは、例えば、一つの漢字を注視しているとパーツごとにばらけて見え始め、ひとかたまりの文字として認識することが難しくなったり、よく知っているはずの文字の形に疑問をもち始めたりするような現象のことを言います。(デジタル大辞泉より)


本番で「ゲシュタルト崩壊」する理由

いつもできていたはずのことが、本番で急にできなくなる。不思議ですよね。

その理由は、考えなくてもできていたからです。

え、それってどういうこと?って感じですよね。

ここで少し、私が難易度の高い曲を練習した時のことをお話させてください。

練習していたその曲はいいかげんに弾くと手が痛くなるくらい運指が複雑な曲でした。

なので、故障防止のため、運指やピッキングの順番を説明できるぐらいにアタマで理解しながら練習しました。

この時ほど詳細に、噛み砕きながら練習したのは初めてかもしれません。

この練習を行うことで、当初の目的はもちろん、演奏を録画した時にミスを減らすことができ、効率的な撮影ができました。

逆に、録画でうまくいかなかった時のことを考えると、うやむやになっている箇所で失敗していたことが多い気がします。

ああ、この失敗って、本番に起こるゲシュタルト崩壊と同じじゃん!!

って思ったんです。

「何となくこんな感じ」と、うやむやになっていたものが本番の特殊な環境下でアタマが冴え渡り、部分的に集中した時に急にわからなくなる。

つまり、集中している本番でゲシュタルト崩壊を防ぐには、「何となくこんな感じ」ではなく「説明できるくらい理解している」ことが大事と言えそうです。

プロがお勧めする「ゆっくり練習」

先生にレッスンを受けていたりすると、

まずはゆっくりやって、弾けるようになったら、だんだんテンポを上げなさい

というようなこと、数万回は聞きますよね。

あの超絶ギタリストのこーじゅんさんも、twitterで何度も仰っているのを見かけますね。

「ゆっくり練習」は、たくさんのプロがおすすめしている信頼と実績の練習方法なはずです。

ただ、これだけ言われているということは、だいたいの人は「わかっちゃいるけどできない」って感じですよね。私も意識してないとそうです…

楽しいのが大好きな脳みそを持った我々は誘惑に負けて、原曲に近しいテンポ、楽しめるテンポでついつい弾いてしまうのですよね。

だけど、これは何かしらの本番を迎える方は要注意。

楽しいテンポで練習をしていると、実はうやむやにしている箇所が多いので、本番にゲシュタルト崩壊を起こす可能性が高いです。

では、「ゆっくり練習」で何が起こっているんでしょうか?

私が練習の過程で「こういうことなんじゃないかな?」と言語化してみたので、次から解説していきたいと思います!


「ゆっくり練習」で何が起こっているかを言語化してみた!

そもそも何で「ゆっくり練習」がお勧めされるんでしょうか?

  • はじめは指がついていかないから?
  • はじめは譜面を追うのに必死だから?

その通りだと思います!

これらに共通していることをまとめると、「アタマが追いついていないから」です。

ゆっくり練習とは、「アタマで理解できるくらいにゆっくり、部分的に行う練習」のことなんです。

私はギターを始めて間もないような方にレッスンする機会があるのですが、

「弾けない」→「弾ける」にする過程で、各指の動きを細かく説明しています。

実はレッスンをしている私もはじめはこのやり方、「ゆっくり練習」との関連を意識しておらず、ただただ目の前の生徒さんに弾けるようになってほしいから説明するくらいの感覚でした。

…が、その後にすんなり動くようになる方があまりにも多く、よく考えたらこれは「ゆっくり練習」の真理だわ…と思ったわけです。

実際に生徒さんの中でも「何となくこんな感じ」だったことが「人差し指を1フレットスライドさせて、中指をその斜め上に持っていく」のように意識が変化している様子が見て取れるんです。

言葉ではうまく説明できませんが、「わかった!!」みたいな感じで目が輝くんです。

これが、まさに「アタマが追いついた」瞬間ですよね。

ギターを弾くことに慣れてくると、この積み重ねのおかげで何も考えなくてもある程度弾けるようになっちゃうんですよね。

ラクをすることが好きな脳みそはサボり始めて、細かい情報をぐちゃっと「こんな感じー!」で認識してしまうのだと思います。

そこに「いやいや、ちょっと待て、ちゃんと説明できるようにしよう」と釘を刺すのが「ゆっくり練習」の役割ですね。

まとめると、ゆっくり練習というのは、

  1. 「アタマが追いつく」ぐらいに、ゆっくり、部分的にチェックして理解をする
  2. その前後との接続を部分的にチェックして、理解をする

といった工程の連続なんですね。

イメトレ最強説

よく「本番前にイメージトレーニングをしています」っていうミュージシャンやアスリートの方、いらっしゃいますよね。

これって、道具を使わずにやってるワケですが、何をしているかというと…

ここまで読んでいる方は想像がつくかもしれません。

アタマの中で指などの身体をどうやって動かすか、説明・再現しているわけです。

裏を返せば、アタマで理解できていないと、本来の意味でのイメトレは不完全ということなんです。

イメトレでバッチリ演奏できる=最強ってこと…??

少なくとも、今よりも成功率は上がるのではないでしょうか。

本番でのクオリティ向上のため、ぜひ自分の動きを説明ができるくらいに「アタマで理解」しながら練習してみてください!